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ゲストハウスの作り方

こんにちは、東裏です。前田さんの「地域カフェの作り方」に続く、なりわいづくり第2段です。今回はわたし達家族が営業しているゲストハウスGOMAを例に、ゲストハウスの作り方を紹介します。

ゲストハウスGOMAの前庭で。

ゲストハウスをはじめたきっかけ

実はゲストハウスをする予定はありませんでした。
誰かに頼まれて、ということもありません。物件を内覧したときに母屋に寄り添うように離れがあり、「ゲストハウスができそう!」とひらめいたのがきっかけでした。当時、シェアビジネスがはやっていて、シェアしたら広過ぎる古民家を有効活用できそうじゃないかな・・・なんて。
ゲストハウスの運営については、およそ10年前に飛騨高山にある”ゲストハウスとまる”でヘルパーを経験したこと、友人知人のゲストハウス立ち上げに関わったこと、以前公務員だった時に建築法令を学んだこと、などから運営は大丈夫な気がしていました。金銭面をのぞいては・・・。
まさか自分がはじめるとは思っていなかったので、金銭面は無知でした。とりあえずこういう時はスモールスタート!

購入前(改修前)の全景。奥に見える黄色い壁の家がゲストハウスに。

簡易宿所の許可を取る!

完全にふくろのねこ、パクります。→記事はこちら

ゲストハウスのはじめ方はネット検索すると無限に(大げさ)出てくるので、さらっと書きたいと思います。「これならできそう。」と思ってもらえたら嬉しいです。

どんな宿にするか考える
お部屋割りや定員など営業イメージを沸かせて、保健所に相談にいく。
改修の予算、設備等の予算を検討する。
屋号を決めてショップカードやホームページを準備する。
必要な設備、家具を準備する。
情報発信を始める。
旅館業法の許可を申請し、改修工事に取り掛かる。
改修工事が終わったら、完了検査を受け、許可証を受け取る。
いくつか宿泊ポータルサイトに掲載。
宿に台帳を準備し、オープン。

ゲストハウスGOMAで不要だったこと。
・用途変更(建築基準法上の手続き)
その当時ゲストハウスは2階建、100平米の面積を超える場合、建築基準法で確認申請が必要でした。申請に際して、建物の構造や仕上げを変更しなければならず、工事費がかさみ、低予算でゲストハウスをはじめたい人にとって、諦めざるを得ない壁だったりしました。※2018年の法改正で緩和され、木造三階建200平米まで認められるようになりました。
ゲストハウスGOMAは平家で数十平米なので、用途変更にうんうん悩むことなく、最小の工事で手続きを進められました。

周囲の反応、泊まった人の感想

ゲストハウスGOMAは2017年夏頃オープンしました。始まる前には、周辺のお店にショップカードを置かせてもらったりしました。胡麻ではじめてのゲストハウス誕生ということで地方紙に掲載いただいたり、ラジオでお話させてもらったり。順風満帆ぽいスタート。

実際は閑古鳥の毎日。ゲストハウスマニアさんからのお問い合わせは、希望にマッチせずお断りするばかり。相部屋がない、近くに選べるほどのお食事処がない、お風呂がない、観光地ではない、車がないと動けない、むしろゲストハウス不適合??みたいな気分。

地域の方には、旅館ではない、お食事がない宿、ゲストハウス等どう説明しても「?」「わからない。」という反応が帰ってきました。これが案外困って、ゲストハウスのお客さんが道に迷って地元のおじいちゃんやおばあちゃんに聞いたときに「ゲストハウス?ゴーマ?知らんわぁ」と言われてゲストさんが困り果てて警察の車に乗ってやってくるといったことがありました。こういうとき、屋号ではなく「東裏さんとこ行きたいんです」と言ってもらうと正答率が上がります(笑)
オープン時には、地域に帰ってきた親戚が泊まれるところとして利用いただけるかなと想像していましたが、今までにそういった利用は1件だけです。

当時の内装はシンプル過ぎました。

いくらシェアビジネスであっても、全くお客さんが無ければ改善のしようもなく、かといってコストをかけて集客する方法は馴染まず、Googleアナリティクスで分析するほどのPV(ホームページ閲覧数)はなく、さて、どう魅力UPしようかもんもんとしている間に、出産、子育て、とライフイベントに忙しくなり、宿事業をいったんお休みすることにしました。この間に、ウェブ事業がGOMAの本事業として軌道に乗り出し、得た知識を活用して、リブランディングしたり、設備を充実させたりする時間に充て、再開後は少しずつお客様に恵まれるようになりました。

居間にちゃぶ台置いたら、家族でくつろげると人気に。

ゲストハウスGOMAをやってみて

よかったこと

・地域の人とつながるきっかけになった
・宿泊客と親しくなり、生涯の友達が増えた
・屋号がGOMA。胡麻を国内外に知ってもらえる
・地域情報に詳しくなったり、集客の動線をうんうん考えるきっかけができた
・不動産(空き部屋)を有効活用できる
・移住を考えているお客さんが来てくれて、地域情報をシェアできる
・田舎のゲストハウスに求められていることがわかった

オープンしてから気づいたこと

・案外インバウンド客が来てくれた(2019年まで)
・お布団好き VS ベッド好き
・昭和の家はなんだか懐かしい VS 田舎臭くて嫌
・宿泊予約サイト経由だと、記載できる内容に限界があり、食事や送迎などの対応できないサービスが元でクレーム対象になることがあった
・宿泊予約サイト上では、嵐山エリアに入るため「遠すぎる!」と宿泊ゲストが怒って帰ってしまう出来事があった。
・何もないことがかえってファミリー層に響いた(交通量がすくない、自然が多いことで自由に遊ばせることができる)

田舎ならではのポイント

・掃除しても掃除しても、終わらない虫と小さな生き物との戦い。お掃除はチェックアウト後とチェックイン前の2回行う
・布団レンタルやリネン屋さんがない。連泊の対応はかなり忙しい
・夜道が暗過ぎる。チェックインは早めにしてもらうが吉

修正したこと

・宿泊予約サイトはAirbnbのみに変更
・日本人のお客さんは自社サイトで予約してもらうようにした
・周辺案内を兼ねたパンフレット”gomanote”を作って、周遊できる工夫をした
・1棟貸し、ファミリー層にターゲットをしぼった
・お布団を辞めて、ベッドにした

余談ですが、ゲストハウスは自宅兼用なので休日であっても、見学に来られる人があり、これはドキドキします。これからゲストハウスをはじめようという方で、オンオフの区別をはっきりしたい場合お客様動線は絶対にプライベートと分けることをおすすめします。

さらに余談ですが、エゴサーチをすると、元々掲載していた予約サイトには”予約不可”と表示されるので「オープンしてますよ〜」と検索している人に伝えたくなります。

売り上げベースで考えないゲストハウス

移住フェアに行くと必ず一度は聞かれる質問。
「ゲストハウスは儲かりますか?」
わたしたちのやり方では正直儲からないです。ただし儲かるスキームはあるので、気になった人はビジネスモデルを調べてみてください。

ゲストハウスGOMAは、この業態を続けていく予定です。理想をいえば、徒歩圏内に飲食店やお店、宿泊施設が複数あると「選ぶ」楽しさが加わって、人の交流が増えて、新しい出会いや仕事が生まれたらいいなあと想像しています。
半農半Xという言葉に例えるなら、GOMAは半ウェブ(本業)半ゲストハウス(好きなこと)。地域外の誰かとの出会いが生まれるゲストハウスは、移住者にとってぴったりなお仕事の一つだと思います。
もし、住む予定の物件が大き過ぎる、なんてことがあればゲストハウスをやってみませんか。

ワーケーションに、移住体験に、ゆったりと時間が流れ、気持ちが晴れるゲストハウスGOMAに遊びに来てくださいね♪

NYからきてくれたアクセサリー作家の友人。再会できる日が来ますように。

 

京都の田舎で暮らしてみたい

\日本初!民間で作った移住ガイドブック「楽しい移住」/京都の里山、南丹市に移住した女子3名が作りました。8組の先輩移住者に徹底取材、多様な生き方暮らし方”これからの移住スタイル”をご紹介。実は知らなかった田畑の取得方法や古民家購入のノウハウなど。2019年3月発刊、全104ページオールカラー読み応えたっぷり。

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